四日市市は、三重県北部に位置する中核都市で、交通・商業・医療・雇用のすべてが高いレベルで揃う住宅都市です。
名古屋通勤圏という地理的優位性、工業都市としての経済基盤、駅周辺の商業集積、暮らしやすさランキング県内上位といった強みから、新築戸建て需要が県内でも最も活発な市のひとつといえます。
本稿では、四日市市の生活特性から、地価・相場推移、建売と注文住宅の違い、今後の市場見通しまでを体系的に解説します。
「四日市で新築を買うならどれくらいの予算が必要なのか」「どのエリアが狙い目なのか」を把握するための総合ガイドとして活用してください。
四日市の特徴
四日市市は人口約31万人を抱える三重県最大の都市であり、交通、商業、医療、子育て環境のバランスに優れた住宅地です。
住みやすさランキングでも常に上位に位置し、名古屋圏との接続性が高いことから、地元民だけでなく愛知県からの移住・通勤層にも人気があります。
都市としての強み
1. 名古屋30分圏の抜群のアクセシビリティ
近鉄四日市駅から名古屋駅までは約30分で到達でき、通勤圏として高い支持を得ています。
JR・近鉄の複数路線に加え、空港アクセスも良好で、県内外への移動がしやすいポジションです。
2. 商業施設の集中と生活利便性の高さ
近鉄四日市駅周辺には大型商業施設・百貨店・商店街が密集し、日常生活の大半が徒歩圏内で完結します。
一方、郊外にもイオン四日市北店や地域スーパーが点在し、車での生活にも適した都市構造です。
市街化区域人口の約64%が商業・医療施設の徒歩圏内に入るほど利便性が高い点は、四日市の大きな魅力です。
3. 医療資源が充実した安心できる環境
四日市市立総合医療センターを中心に、駅周辺に各種診療所・専門医療施設が広がっています。
郊外にもクリニックが適度に分布し、子育て世代や高齢者が安心して暮らせる医療体制が整っています。
4. 子育て支援と教育環境
中学生までの医療費無料、病児保育制度、保育所の整備など、子育て制度の充実度は県内トップクラスです。
治安も安定しており、共働き世帯にとって非常に住みやすい環境が形成されています。
5. 安定した人口構造
人口約30.8万人のうち、生産年齢人口は61.5%と安定しており、2045年まで人口減少が緩やかにとどまる見込みです。
子育て世帯の流入が継続しており、住宅需要を支える基盤となっています。
6. 持ち家率が高く一戸建て志向が強い
持ち家率は62.7%で、全国平均と比べるとやや高めの水準です。
工業都市として転勤族が多いものの、一戸建て中心の住宅構造が根強く、新築物件の供給と需要がバランスよく推移しています。
これらの特徴が相まって、四日市市は三重県内でも特に新築戸建ての流動性が高く、資産価値の下支えとなる都市です。
四日市全体の相場傾向
四日市市の新築戸建て相場は、3,500〜4,500万円が中心価格帯です。
特に駅近エリアは地価上昇が顕著で、郊外エリアとの価格差が年々広がっています。
1. 新築戸建ての平均価格
四日市の新築戸建て平均価格は**約3,167万円(2025年時点)**で、価格帯としては以下のように分布します。
- 最低価格帯:1,600万円台
- 中心価格帯:3,000〜4,000万円
- 上位価格帯:5,000万円超(駅近・ハイグレード仕様)
価格幅が大きく、立地・仕様・敷地面積によって大きく変動します。
2. 地価との相関
四日市市の地価は三重県内で最も高く、
住宅地の平均地価は 48,385円/m²(坪16万円) 前後で微増傾向にあります。
駅周辺は坪30万円前後に達する一方、郊外では坪10万円台も多く、エリア差が顕著です。
地価の上昇背景
- 駅東側の商業開発が進む
- 工業地帯の雇用が安定
- 名古屋通勤圏としての需要増加
住宅地・商業地とも上昇基調が続いており、これが新築価格の上昇要因となっています。
3. 相場推移の特徴
2022年〜2025年の数年で、四日市の新築相場は約10%上昇しています。
上昇要因は、
- 建築費の高騰
- 地価の上昇
- 新築需要の継続的な強さ
- 高性能住宅仕様の標準化
といった複合的なものです。
4. 商業・医療の集約と地価形成
駅周辺(近鉄四日市駅・JR四日市駅)に商業機能が集中しており、このエリアは四日市市で最も地価が高く、新築戸建て相場も県内トップクラスとなっています。
一方、郊外の日永・山之一色・桜エリアなどは価格が安定し、手頃な新築戸建てが供給されています。
5. エリア別の相場感
駅近エリア(中央・諏訪栄町周辺)
- 3,800〜5,000万円
- 商業・医療・交通のすべてが徒歩圏内
- 資産価値が安定しやすい
日永・山之一色などファミリー向け住宅地
- 2,800〜3,500万円
- 自然環境が近く教育環境も整う
- 土地が広く注文住宅も選択しやすい
工業地近郊
- 3,200〜4,200万円
- 供給が多く、価格競争力が高い
四日市はエリアに応じて価格差が大きく、「どの地域を選ぶか」が予算に直接影響します。
建売と注文の違い
四日市市では、建売と注文住宅の両方が活発に取引されており、それぞれ明確な特徴があります。
建売住宅の相場と特徴
価格帯
- 2,800〜4,000万円台が主流
- 供給が多く、在庫も豊富で値引き交渉がしやすい傾向
メリット
- 即入居できる
- 実物を見て選べる
- 価格が明確で予算管理しやすい
- ZEH水準の性能で建てられた物件も増加
デメリット
- 間取り自由度が低い
- 仕様が標準的で選択肢が少ない
- 立地は分譲開発地が中心
四日市市は大手建売メーカー(飯田系、タマホームなど)の供給が多く、価格競争が働きやすい環境です。
注文住宅の相場と特徴
価格帯
- 3,500〜5,500万円前後
- 駅近や人気校区ではそれ以上になることも
メリット
- 住まいの性能・デザインの自由度が高い
- 土地が広いエリアでは割安感が出やすい
- 長期的な価値を意識した設計が可能
デメリット
- 建築期間が長い
- 総額が上がりやすい
- 土地探しとのセット計画が必要
郊外の山之一色や松本方面では、土地の広さを活かした注文住宅の人気が高い傾向があります。
今後の見通し
四日市市の新築戸建て市場は、今後も安定した需要を維持しながら、緩やかな価格上昇が続くと見込まれます。
1. 地価上昇は継続傾向
住宅地は+1.0%、商業地は+1.7%、工業地は+2.5%と、用途を問わず地価が上昇しています。
特に工業地の上昇率が高いことから、雇用面での追い風が継続すると考えられます。
2. 新築価格は今後も3〜5%上昇の可能性
建築費の高止まりや性能基準の強化が続くため、短期的な下落の可能性は低く、
2026年以降も緩やかな上昇が見込まれます。
3. エリア間の価格二極化が加速
- 駅近エリア:価値が安定し上昇しやすい
- 郊外エリア:相場は安定しつつ手頃な価格帯が維持される
地価差により、「都心と郊外の二極化」がさらに明確に進むと考えられます。
4. 建売在庫増加で買い手に有利な局面も
在庫増加に伴い、建売物件では価格交渉の余地が広がっています。
今後、金利動向によっては販売価格の調整も増えるでしょう。
5. 住みやすさ評価の上昇で移住需要が増加
住みやすさランキング県内1位という評価が続いており、
ファミリー層・共働き世帯からの関心が高まっています。
総合的に見ると、
四日市市の新築市場は今後も強い需要に支えられ、地価・価格ともに堅調な推移が続くと予測されます。
まとめ
四日市市は、三重県内でも最も住宅需要が安定した都市のひとつです。
- 新築相場は 3,500〜4,500万円が中心
- 地価は県内トップの上昇率
- 商業・医療・交通の利便性が高い
- 子育て支援が充実し、住みやすさランキング上位
- 建売はコスパ良好、注文住宅は郊外で人気
- 今後も緩やかな価格上昇が見込まれる
これらの点から、四日市での新築購入は「資産価値が落ちにくい選択肢」となりやすく、
住宅購入を検討する多くの家庭にとって魅力的なエリアといえます。